この度弊社は、米国テキサス州にあるテキサス大学ダラス校(University of Texas Dallas)と連携し、日本発の試みであるバーチャルインターンシップを実施いたしました。
テキサス大学ダラス校(以下「UTD大学」という。)は、1969年に設立された、28,000人を超える学生が学ぶダイナミックな公立研究大学です。州屈指の難関大学で、U.S. News & World Reportsで「合格率が低く(難関)、より優れた学生を選んでいる」と評価されています。
また、29の研究機関があり、中でもコンピュータサイエンスの研究は世界のトップレベル。他にも科学、テクノロジーエンジニアリング、芸術、およびマネジメントの分野で高いレベルのプログラムを提供しています。
リアルからバーチャルへ
弊社は2019年にUTD大学とMOA(インターンシップに関する覚書)を締結し、米国の市場調査をテーマとするインターンシッププログラムを行うために、同大学と準備を進めてきました。そして、いよいよ2020年6月から同大学の学生を日本に呼びよせ、国際インターンシップを実施する段取りとなっていましたが、新型コロナウイルスの影響で年内の渡航が大学側より禁止となり、実施することができなくなりました。
しかしながら弊社はこのチャンスをあきらめず、UTD大学と協議を継続し、別の形でのインターンシップを模索。そして、国際インターンシップをインターネットを介したオンラインで行うバーチャルインターンシップへ切り替えて実施することになりました。この時点で日本でのバーチャルインターンシップの事例はなく、全くの手探り状態。弊社にとっても大きなチャレンジでしたが、試行錯誤を繰り返しながら念入りに準備を進め、2020年7月7日~8月31日の期間でバーチャルインターンシップを実施する運びとなりました。
今回のバーチャルインターンシップのテーマは、現在発ジャパンが鋭意開発中であるドローンチャージングステーションを活用し、「ドローンチャージングステーションの米国市場調査」としました。
そして、UTD大学の学生で弊社バーチャルインターンシップ希望する11名の中から、グローバルビジネス学科の学生2名、Antonio PaylorさんとFrederick Connellyさんを対象者として選びました。
学生について
Antonio Paylor(アントニオ ペイラー)
Antonioさんは、限られた時間の中でリサーチ結果を毎日パワーポイントで準備し、オンライン会議で分かりやすく解説してくれました。また、現在日本語を勉強しており、パワーポイントの一部を日本語に変更したり、日本語で挨拶をしたりと、とても気遣いがある学生でした。
彼のアイデアは、狭く制約の多い日本では考えられないようなアメリカならでは視点に基づいており、そのアイデアを基に様々なケーススタディを重ね、さらに我々と連携が期待できるポテンシャルのあるパートナー会社をリストアップして私たちに提供してくれました。
彼の提案したビジネスモデルは、とても現実性のある内容でした。
Frederick Connelly(フレドリック コネリー)
Frederickさんの強みは情報収集力です。短期間で多方面から収集した情報を分析し、大規模な調査研究を行い、毎日大量の情報を私たちに提供してくれました。
彼からの情報は、アメリカ最新の規制や公的機関の動きに渡り、どれも日本では手に入らないものでした。そして、それらに基づいたビジネスモデルを考察し、それを実現すための複数の潜在的なパートナー企業に直接アプローチし、わずか2週間で6つの企業へのインタビューを成功させました。
彼が提供する情報は米国展開を行う上で私たちではとても入手できない現地ならでは貴重なもので、大変参考になりました。
バーチャルンインターンシップの様子
バーチャルインターンシップは、オンラインコミュニケーションツール「ZOOM」を活用し、弊社が出した課題に対して学生が自主的に調査研究を行い、毎日のオンライン会議で学生から進捗報告を受ける形で進めました。
「ZOOM」を有効に活用することで、弊社は学生からの日々の進捗報告から、調査内容やアップデート、モニタリング、管理を日本からでも行うことが出来ました。約14時間の時差は当初懸念材料でしたが、問題なくスムーズに進めることが出来ました。以前はリアルで行わなければならなかったものをバーチャルでも行える時代に変化しているのを改めて実感しました。
国際インターンシップで求められる成果を、弊社は、このバーチャルインターンシップという新しい方法で得ることが出来ました。
Final Presentationの会議では、学生の担当教師であるUTD大学のMr.Hubertにもご参加頂きました。Mr.Hubertは、バーチャルインターンシップの2ヶ月間を終えた学生の成果に、とても驚いていました、また、次のような暖かいコメントを頂きました。
「いくつかのことについてお話したいと思います。まず、ありがとうございます。
このズーム会議には16人が参加しており、この質の高いプレゼンテーションに3時間座って聞いて頂き、発ジャパンがUTD大学とのこのバーチャルインターンシップにどれだけコミットメントしているか非常に伝わってきました。私たちとの関係を維持し、強化してくださった鈴木氏に感謝します。最後に、AntonioとFrederickに関しては、彼らが提出したプレゼンテーションの情報は学生が提出する通常のレベルの状態ではなく、大学院レベルであることをとても誇りに思います。」
「I want to address the few things, first of all thank you so much. Its shows the commitment, we have 16 people on this zoom call, and we spend 3 hrs sitting and listening to this quality presentation, that’s shows the commitment.
I like to thank Mr Suzuki for keeping this relationship going and for strengthen this relationship with us. I want to conclude thank you Frederick and Antonio, I did not expect this real good quality research, what you guys did is a graduate type quality level output.」
学生からの感想
発ジャパンでのバーチャルインターンシップに参加し、楽しい経験をさせて頂きました。最初から、期待が明確に設定され確立されており、自分の研究を実施して割り当てられたタスクを完了するのに十分な時間が与えられました。私はこのインターンシップに関わった方々と素晴らしい時間を過ごすことができました。ここで得た経験は、私の将来のキャリアにとって貴重なものになると気付きました。
My experience being a part of HATSU JAPAN’s virtual summer internship was nothing but enjoyable. From the get-go, expectations were clearly set and established, and I was given enough time to conduct my research and complete my assigned tasks. I had a great time working with everyone involved with this internship, and I know that the experience I gained will be valuable to my future career.
発ジャパンでのバーチャルインターンシップは素晴らしい経験でした。この機会により、大学のクラスで学んだスキルと戦略を活用し、プロジェクトに従事することができました。この経験で私の視野が広がり、よりグローバルに意識させられ、研究開発とマーケティングでのキャリアへの方向に準備をしています。
My experience doing a virtual internship with HATSU Japan has been great. The opportunity allowed me to utilize the skills and strategies I’ve learned in my college classes and apply them in engaging real-world projects. The experience broadened my horizons and made me more global conscious and readied me for a career in R&D and marketing.
最後に
弊社の新しいチャレンジである海外の大学とのバーチャルインターンシップは、期待を超える成果を得ることができました。
一般にインターンシップは「学生の経験の場」という解釈が主であり、受け入れ企業側の負担が懸念視されるものです。しかしながら、学生に多様な実習環境を提供する大学で学ぶ、積極的な学生によるインターンシップは、受け入れ企業側も大きなメリットを得ることができます。中でも弊社がコネクションをもつUTD大学を始めとする海外の大学は、レベルも高く企業との連携も積極的。
それらの大学で学ぶ学生のモチベーションは非常に高く、インターンシップを受け入れることにより、自社のイノベーションが促進されることも十分に期待できます。ただ、そのためには企業側も学生が能力を発揮できるような環境づくりや課題の出し方等にこだわる必要があり、両者がベストと尽くしてインターンシップに臨む必要があります。
また、ICT技術の普及により、誰もがストレスフリーで遠くのパートナーとコミュニケーションをとることができるようになりました。バーチャルインターンシップはそのメリットを最大限活かし、物理的な距離、時間の制約、移動コストをゼロにしながらインターンシップの効果を得ることができるため、まさに中小企業向けと言えます。
もちろんリアルなインターンシップには相応の魅力がありますが、新型コロナウイルスのようなやむを得ない事情を考慮しなくても、今後は十分に選択肢のひとつになりえると考えます。
私たち発ジャパンは、今回自社で経験したバーチャルイターシップを仕組み化し、今後企業のイノベーションを促進させる手段の一つとして、他の中小企業に展開を図っていきたいと考えています。今後の私たちの取り組みに、ぜひご注目ください。